研究概要 |
私は、高脂血症患者の治療として行われている、デキストランサンフェートカラムを用いたプラズマフェレ-シス後のカラム溶出液から新規蛋白質を発見し、そのアミノ酸配列を決定したところ、IHIの重鎖とホモロジーが高かったので、IHRP(ITI重鎖関連蛋白質)と命名した。ITI重鎖には分子内にDPHFIIというアミノ酸配列が存在しており、この部分でコンドロイチン硫酸鎖を介してビクニンと複合体を形成しているが、IHRPには、このアミノ酸配列が存在していないため、ビクニンとの複合体は形成していなかった。また、IHRP遺伝子はクロモゾーム3P21-p14に存在しており、ここはITI重鎖1と3の存在している部位と近接していた。ブタIHRPcDNAをクローン化したところ、心虚血再灌流後に肝で誘導される急性期蛋白質の一つであることが明らかとなった。ヒトIHRP遺伝子の構造を調べたところ、全長15kbで24のエキソンから成っており、TATAboxは存在していなかった。また、その遺伝子構造はITI遺伝子とよく似ていた。プロモーター部位にはLF-A1,HNF-5,NF-IL6,C/EBPが存在しており、EST遺伝子のすぐ下流に存在していた。マウスのIHRPcDNAをクローン化したところ、ツルペンチンやLPSで引き起こされる炎症時に誘導される蛋白質であることが明らかとなった。ツルペンチンによる誘導はデキサメタゾンで阻害されたが、LPSによる誘導はデキサメタゾンで阻害されなかった。、マウスのIHRP遺伝子のプロモーター部位をクローン化し、ゲルシフトアッセイを行ったところ、ツルペンチン処理マウス肝核抽出物を用いたときにはゲルシフトが認められたが、正常マウスのものではゲルシフトしなかった。
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