ペルオキソーム膜タンパク質局在化と膜形成・分解の分子機構を明らかにすることを目的として、(1)70kDaペルオキシソーム膜タンパク質(PMP70)の局在化機構、(2)PMP70過剰発現細胞の取得とPMP70の細胞内動態について解析した。その結果、以下に示す新しい知見を得た。 1.PMP70はN末端およびC末端を細胞質側に露出し、ペルオキシソーム膜を6回貫通している。この点を考慮し、各種PMP70cDNA cunstructを作製し、転写・翻訳後[^<35>S]PMP70のペルオキソーム膜への結合、挿入を詳細に解析した。その結果、PMP70のペルオキシソーム膜への局在化にはPMP70の第3膜貫通ドメイン周辺が重要な役割を果たし、ペルオキシソーム膜上のタンパク質因子が関与することが明らかになった。また各種阻害剤での実験より、PMP70の局在化の機序はマトリックスタンパク質局在化機構とは異なることが示された。 2.PMP70cDNAを哺乳動物発現ベクターpME18Sに組込んだプラスミドを作製し、CHO細胞でPMP70の過剰発現株を選別した。細胞分画法、蛍光抗体法による解析により、PMP70はposttranslationalにペルオキシソーム膜に移行し、膜に局在化することが示された。 3.ラット肝ペルオキシソームにmetalloproteaseが存在することを見いだした。本酵素のペルオキシソーム膜タンパク質分解関与の有無について明らかにしたい。 PMP70はペルオキシソーム増殖時にもっとも誘導される膜タンパク質であり、その過剰発現はペルオキシソーム膜形成・分解系に大きな影響を与えると考えられる。そこでPMP70過剰発現細胞を利用し、さらに詳細な解析を進めたい。
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