研究概要 |
1.前年度クローニングした両分子種の3-MST(31kd、34kd)に対応するcDNAクローンを哺乳類で発現可能なベクター(pRc/CMV)中に構築し、サル腎臓細胞(Cos-7)中で一過性的に発現させ、細胞分画後の抽出物を活性測定及び、前度作製したリコンビナント3-MSTに対する特異的モノクローナル抗体でウェスタンブロット法により31kd、34kd3-MSTの分子種を同定した結果、31kd 3-MSTはミトコンドリア、サイトゾール両画分に、34kd 3-MSTはサイトゾール画分のみに局在しヒト細胞中で見出されている局在性、分子サイズとも同一であった。更に、34kdに対応する3-MST cDNAクローンを哺乳類で発現一過性的に発現させ、ヒトで見出だされるような等電点の異なるアイソフォーム(pI6.3,pI6.8,)の存在が確認できた。また、修飾を明らかにする目的で脱リン酸化酵素を作用したところ等電点の変化は見られた。 2.前年度クローニングした両分子種の31kd、34kdに対応する3-MST cDNAクローンの特異的部位を用いヒト各種臓器での発現量をノーザンブロットで解析したが、特異的配列でのノーザンブロットでの検出はできなかった。更に発現メカニズムを明らかにする目的で、得たcDNAをプローブとしヒトゲノムDNAクローニングを行い10クローンを得た。現在、そのクローンより転写開始点を含む上流部をサブクローニングし、CATをレポーターとするベクターを用い様々なサイズのDNAを挿入し、その発現を検討中である。 3.ヒト血球系ガン細胞K562(誘導剤処理により赤芽球様細胞へと分化誘導可能な細胞)を用い分化誘導に伴う3-MSTの変動の生理的意義を解明する目的で、前年度構築したLacSwitch^<TM> Inducible Mammalian Expression System(IPTGにより誘導的発現可能)のRSV-LTRプロモーターをより強力なヒトエロンゲーションファクターEF-1αのプロモーター部分に組み換えたベクター中にセンス鎖、アンチセンス鎖mRNAを発現するように各々構築し、導入、薬剤選択中である。 4.同じイオウ転移酵素群の一つであり相補性も考えられるヒトロダネ-ゼについてcDNAクローニング・全塩基配列決定と発現を行った。
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