1.PCR法で単離した31kd分子種の3-MST cDNAクローン(MS-1.2)をプローブとし用い、34kd 3-MSTcDNAのクローニングをヒト肝臓cDNAライブラリーより行い、34kd 3-MSTcDNAをコードすると思われる2クローン得、塩基配列を決定した。その結果、最長のクローン(MS-1.25)は1340bpでMS-1.2と比較し、5'側の塩基配列が異なっていた。それより予想されるアミノ酸配列は、MS-1.2と比べ20残基長く297残基であった。大腸菌中で31kd分子種の3-MSTを過剰発現させ3-MSTに対するモノクローナル抗体を作製し複数のクローンを得、性格付けを行った結果、同じイオウ転移酵素群のヒトロダネ-ゼと交差反応を示すものを含め異なったエピトープを認識する抗体を得た。クローニングした両分子種の3-MST(31kd、34kd)に対応するcDNAクローンを哺乳類で発現可能なベクター(pRc/CMV)中に構築し、サル腎臓細胞(Cos-7)中で一過性的に発現させ、細胞分画後の抽出物を活性測定及び特異的モノクローナル抗体でウエスタンブロット法により31kd、34kd3-MSTの分子種を同定した結果、31kd 3-MSTはミトコンドリア、サイトゾール両画分に、34kd 3-MSTはサイトゾール画分のみに局在しヒト細胞中で見出されている局在性、分子サイズとも同一であった。両分子の発現メカニズムを明らかにする目的で、得たcDNAをプローブとしヒトゲノムDNAクローニングを行い10クローンを得た。現在、そのクローンより転写開始点を含む上流部をサブクローニングし、CATをレポーターとするベクターを用い様々なサイズのDNAを挿入し、その発現を検討中である。 2.同じイオウ転移酵素群の一つであり細胞内機能の相補性も考えられるヒトロダネ-ゼについてcDNAクローニング・全塩基配列決定と発現を行った。
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