研究概要 |
I.マウスの受動的回避学習におけるガラニン誘発健忘に対するアセチルコリンおよびドパミン関連薬物の効果について検討し,以下の知見を得た. (1)ドパミンD_1レセプターアゴニストのSKF38393,ドパミD_2レセプターアゴニストのRU24213,ドパミンD_1レセプターアンタゴニストのSCH23390あるいはドパミンD_2レセプターアンタゴニストのS(-)-スルピリドを保持試行前に投与しても正常マウスの受動的回避学習はほとんど変化しなかった. (2)SKF38393を保持試行前に投与すると,ガラニンによる受動的回避学習障害が有意に抑制された.しかしながら,RU24213,SCH23390あるいはS(-)-スルピリドを保持試行前に投与してもガラニンによる受動的回避学習障害はほとんど影響されなかった. (3)以上の結果より,ガラニンによる受動的回避学習障害の発現機構としてドパミン神経の機能低下が推察された. II.スコポラミンにより誘発される自発的交替行動障害に対するタキキニン類の効果について検討し,以下の知見を得た. (1)サブスタンスPとニューロキニンAは正常マウスの自発的交替行動にほとんど影響しなかった. (2)サブスタンスPとニューロキニンAはスコポラミンによる自発的交替行動障害を有意に改善し,それらの改善作用はニューロキニン-1レセプターアンタゴニストのWIN62577およびニューロキニン-2レセプターアンタゴニストのL-659,877の前置によってそれぞれ拮抗された. (3)以上の結果より,ニューロキニン-1およびニューロキニン-2レセプターを刺激すると短期記憶障害が改善されることが示唆された.
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