研究課題/領域番号 |
07672412
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
石田 美知子 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 薬理研究部門, 研究員 (90124437)
|
研究分担者 |
篠崎 温彦 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 薬理研究部門, 研究員 (20109945)
|
キーワード | 代謝調節型グルタミン酸受容体 / キスカル酸 / quisqualate priming / 神経可塑性 / L-AP4 / カイニン酸様痙攣 / 神経細胞死 / グルホシネート |
研究概要 |
代謝調節型グルタミン酸受容体、quisqualate priming、神経可塑性との間に何らかの関係があるのではないかという仮説の基に、電気生理学的手法を用いて薬理学的検討を進めた。新たに、AMPB(L-2-amino-4-(methylphosphino)butyric acid、一般名グルホシネート)がかなり強力にquisqualate primingの影響を受けることを見いだした。AMPBは、標本をキスカル酸で処理する前では、かなり濃度を高めても運動ニューロンの脱分極をほとんど起こすことはないが、キスカル酸により処理した後では著しい脱分極を起こすようになり、この効果はキスカル酸による処理後2時間以上持続する。キスカル酸により受容体の感受性が変化することがこのような現象を生じたと考えられ、キスカル酸適用前後での受容体の感受性の違いは恐らく100倍以上である。AMPBをラットに皮下注すると、数時間後にlimbic motor seizuresを誘発する。投与後かなりの時間を経て痙攣が生ずること、および痙攣の症状全体からみてカイニン酸ときわめて類似していることは、神経薬理学的にかなり興味深い化合物である。AMPBは代謝調節型グルタミン酸受容体アゴニストのL-AP4(L-2-amino-4-phosphonobutyric acid)と化学構造的にきわめて類似しているにもかかわらず、代謝調節型グルタミン酸受容体を活性化する作用は非常に弱い。一方、L-AP4は皮下注してもカイニン酸様痙攣は起こさない。また、L-AP4は脳血液関門を通過し難いが、AMPBは痙攣を誘発することから脳血液関門を通過するものと思われる。痙攣、神経細胞死、あるいは新しい記憶の喪失などAMPBが示す作用とquisqualate primingとの関係に興味がもたれる。
|