研究概要 |
著者らが設計し、合成した、20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD_3の立体配座制御アナログ、22R-メチル-20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD_3がnative hormoneである1,25-ジヒドロキシビタミンD_3の20倍の受容体結合活性を示し、史上最強の受容体結合活性をもつ化合物であることを、前年度までに明かにした。この結果に基ずき、メチル基の代りにエチル基、ブチル基を置換した側鎖立体配座制御アナログ、22R-エチル-20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD_3、22R-ブチル-20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD_3を設計た。 これら2つのアナログを、我々の開発した、有機銅試薬のエノンへの面選択的共役付加反応、を鍵段階として立体選択的に効率良く合成することに成功した。合成されたアナログのレセプターへの結合能をウシの胸腺レセプターを用い,[^3H]-1,25-ジヒドロキシビタミンD_3との競合的結合法により検討した。その結果、22R-エチル-20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD_3は22R-メチル-20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD_3と同等あるいは若干強い活性を示した。一方、22R-ブチル-20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD_3は1,25-ジヒドロキシビタミンD_3より活性が弱かった。以上の結果、メチル基以外のアルキル基の置換も活性増強に有効であること、アルキル基はメチル基、エチル基、が最もよく、ブチル基では活性がかなり落ちることが明かとなった。ブチル基はかなり大きく、レセプター結合の際、レセプターとの立体的なぶつかり合いのため不利になると考えられる。以上のごとく、著者らは、ビタミンD_3とレセプターの相互作用に関して重要な知見を得ることに成功した。
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