研究概要 |
4-コレステノンおよびその誘導体の血清脂質低下作用および抗肥満作用の作用メカニズムの解明のため、合成および入手した誘導体29化合物を用いて構造活性相関について検討した。その結果、一例を除き、ステロール骨格のC3位にカルボニル基を有し、AまたはB環に1ないし3個の二重結合を持つエノン化合物11に活性が認められた。エノン構造をとらない3-ケト化合物や3-オール化合物、およびA環や側鎖を他の官能基で修飾したエノン化合物には活性が認められなかった。以上のことから、親水性のカルボニル基を有する頭部と二重結合によるA,B環の捻れ、および疏水性の炭化水素鎖からなる尾部を有するステロール骨格が活性発現に必要であり、その性質に影響を与えるA環や側鎖の修飾は活性を阻害することが明らかになった。 ついで、4-コレステノンの毒性を検討するためSDラットを用いた亜急性経口毒性試験を実施した。その結果、一般状態や尿検査に異常はみられなかったが、高濃度(1%)混餌投与群において赤血球膜の脆弱、肝機能値(GOT,GPT)の高値、脾臓の鬱血および副腎の肥大が観察された。これらの所見は4-コレステノンの代謝物のコレスタノールの蓄積によることが推察され、今後はコレスタノールなどの中間代謝物の蓄積のみられないエノン化合物について検討する必要があると考えられた。 4-コレステノンの体内動態については現在検討中である。
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