研究概要 |
コレステノン(cholest-4-en-3-one)の抗高脂血症作用について家族性高脂血症のモデルであるWHHLウサギに対する1%飼料添加によって検討した。実験は普通飼料2週間,ついでコレステノン添加飼料3週間,再び普通飼料2週間の飼育スケジュールで行った。動物の血清コレステロールはコレステノン添加飼料によって3週間で700mg/dlから470mg/dlに,また血清トリグリセライドは1週間で360mg/dlから50mg/dlに減少した。血清トリグリセライドの減少レベルはコレステノン摂取中維持された。薬添飼料を中止するとこれら血清脂質はもとのレベルに回復する傾向を示した。動物の増体重,摂食量および飼料効率はコレステノンによる抑制がみられた。コレステノン摂取による動物の異常は臨床所見からは認められなかった。 ついで,トリグリセライドの吸収,代謝に対するコレステノンの作用について検討した。トリグリセライドの膵リパーゼによる消化,混合ミセルの形成,小腸粘膜上皮細胞への吸収,およびリポタンパクリパーゼによる分解に対してはコレステノンは阻害作用を示さなかったが,細胞内でのカイロマイクロンの形成を阻害することが示唆された。 さらに,コレステノン誘導体の大量合成に関する合成化学的検討を行い,18種の化合物についてgオーダーレベルの合成法を確立した。
|