1.医学部高学年の学生を対象にしてへき地に立地する小さい医療機関で行う学外実習(診療所実習)は、単に地域における医療を体験し、臨床的な技術や知識を身につけるだけでなく、患者や家族と間近に接して行う医療や、小さい市町村で医療・保健・福祉が一体となった現場の体験を通して、プライマリ・ケアの5原則である、近接性・包括性・協調性・継続性・責任性、が効率よく学べる実習であることと、学生および担当医師(へき地診療所勤務医師)に様々な影響を与え、実習に対する評価は高い事が明らかになった。 そして、今回の研究成果として、学外実習(診療所実習)を前向きに押し進めることとなり、学外実習の担当医師を大学の学外教員とする制度化、実習の必修化、実習期間の拡大が行われるようになった。 今後の課題としては、教員のトレーニングやカリキュラムの統一化などを図り、さらなる実習の質の向上および質の均質化が肝要であると考える。 2.医学部の新入生を対象にして、EARLY EXPOSURE(早期体験実習)における意識変化をみることによって実習を評価する研究の結果、EARLY EXPOSUREの効果として、医者に対する見方・考え方が、より、学生に身近感じられるように変化し、へき地に対する見方・考え方が良好な方向に変化し、プライマリ・ケアを学んでいく上で必要な要素の一部が学習できたと考えられ、実習の当初の目的にかなった結果が得られた。 そして、実習前後の意識変化を見るという、新たな実習の評価の方法については、学生の意識の変化がはっきりとわかり、少なくとも実習をさせる側の目的が達成されたかどうかを判断することができ、実習評価の一つの方法として有効であると思われた。
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