1.推定アミノ酸の配列からCYP3A2およびCYP3A1に対応すると考えられる遺伝子P450/6βAおよびP450/6βBを単離し、P450/6βA遺伝子の全エクソン領域およびプロモーター領域3.4bpの塩基配列を決定した。この遺伝子はエクソンを13個持ち、これはこれまでに報告されているP450の中で最大だった。P450/6βB遺伝子についても現在までにプロモーター領域1.0Kbpと11個のエクソン領域の塩基配列を決定した。 2.6β-A cDNAをCOS-1細胞に発現させ薬物代謝活性を測定したところ、6β-AはP4506β-1よりもP4506β-3により類似した性質を示し、6β-A cDNAは精製タンパクのP4506β-3に対応することが示唆された。さらにCOS-1細胞に発現させた6β-A cDNAが高い活性発現をするためには、精製酵素と同様P450還元酵素のみならずb5も必要とすることが明らかになった。 3. HepG2細胞を用いたCATアッセイおよびゲルシフト法を用いた競合阻害実験よりP450/6βA遺伝子の肝特異的活性化は肝の転写因子であるHNF-4がP450/6βAの6βA-Aサイト(-106bpから-87bp)に結合することによって引き起こされることが示された。また、6βA-Aサイトに近接した5'上流域にP450/6βA遺伝子の抑制的な調節に関与すると考えられる6βA-Bサイト(-143から-138)の存在も確認できた。 P450/6βB遺伝子にのみ存在する挿入領域にタンパク因子の結合が認められた。この領域を含むCATベクターを用い初代培養肝細胞でCATアッセイを実施したがデキサメゾンによる誘導効果は検出できなかった。
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