研究課題/領域番号 |
07672474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
百瀬 和享 昭和大学, 薬学部, 教授 (80004597)
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研究分担者 |
清水 俊一 昭和大学, 薬学部, 助手 (60196516)
石田 行知 三菱化学, 生命科学研究所, 主任研究員
ISHIDA Tomoyuki Chief Research of Life Science Institute Mitsubishi Chemicals Co.Ltd
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 血管機能障害 / 血管内皮細胞 / 過酸化水素 / 一酸化窒素 / 活性酸素 / 酸化的ストレス |
研究概要 |
血管機能の調節に重要な役割を演じているNOは、L-アルギニンを基質とし、NO合成酵素(NOS)により産生されるが、基質や補酵素濃度が低下すると、NOSは、NOではなく活性酵素を産生することが、脳由来のNOSを用いた実験で明らかにされた。近年、我々は、H_2O_2添加による内皮細胞障害モデルにおいて、NOS阻害剤であるN^G-nitro-L-arginine(L-NNA)は細胞障害を抑制するが、N^G-methyl-L-arginine(L-NMA)にはその効果が認められないことを見出した。L-NNAは、NOSによる活性酸素産生を抑制するが、L-NMAにはその作用がないことが示されている。我々は、L-NNAの細胞障害抑制作用の機構として、酸化的ストレスの過程でNOSより活性酸素が産生され、L-NNAはその活性酸素の遊離を抑制することにより細胞を保護すると仮説した。本研究において、L-NNAは、外因性H_2O_2により生じる細胞障害だけでなく細胞内で起こる酸化的ストレス(グルタチオン低下)による細胞障害も抑制することを示した。また、NOS活性を有さないRFL-6細胞では、L-NNAの細胞障害抑制効果が見られなかったことから、L-NNAの作用はNOS活性の抑制に関連していることを示唆した。更に、H_2O_2を内皮細胞に添加することにより、細胞死に先行して細胞内Ca^<2+>濃度が増加し、NOSが活性化されることを明らかにした。以上の結果は、酸化ストレスの過程でNOSが活性化され、そのとき遊離する活性酸素が細胞障害に関与し、L-NNAは、NOSからの活性酸素の遊離を抑制することにより細胞障害を抑制するという我々の仮説を支持すると考えられた。また、本研究において、電極法を改良することにより血管床におけるNOの直接測定を可能とした。今後、活性酸素に応答せずNOに選択的に応答する電極の開発を行い、活性酸素による細胞障害の進展時におけるNO遊離量の変化も明らかにしていく予定である。
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