糖尿病マウス脾臓単核細胞由来因子によるオピオピドμ受容体を介した薬理作用の減弱機序を解明する研究を進め、以下の結果を得た。 K^+チャネル活性化薬であるクロマカリムの脳室内投与は、対照群マウスにおいてATP感受性K^+チャネル阻害薬であるグリベンクラミドにより阻害される鎮痛効果を示した。しかしながら、糖尿病マウスにおいて、クロマカリウムの鎮痛効果をほどんと示さなかった。糖尿病マウスの脾臓単核細胞の対照群マウスへの移植により、移植対照群マウスにおけるクロマカリムの鎮痛作用は減弱した。一方、糖尿病マウスの脾臓摘出により、脾臓摘出糖尿病マウスにおけるクロマカリム誘発鎮痛効果の増強が認められた。 糖尿病マウスにおけるモルヒネ誘発自発運動促進効果を減弱も、糖尿病マウスより脾臓を摘出することにより、対照群マウスのレベルにまで回復した。さらに、糖尿病マウスの脾臓単核細胞上清の対照群マウスへの投与により、対照群マウスにおけるモルヒネ誘発自発運動量促進作用は減弱した。 糖尿病マウスにおいて減弱していたモルヒネの鎮痛効果は、ドパミンD2受容体拮抗薬であるスルピリド前投与により、対照群マウスのレベルにまで回復した。また、D2受容体作動薬であるキンピロールは対照群マウスにおけるモルヒネの鎮痛効果を減弱させた。糖尿病マウスにおいて増加していた側坐核におけるドパミン代謝回転は脾臓摘出により対照群マウスのレベルにまで低下した。 これらの結果より、糖尿病マウス脾臓細胞由来因子は、ATP感受性K^+チャネルの阻害作用および脳内ドパミンD2受容体の機能を変化させることによりオピオピドμ受容体を介した薬理作用を減弱させることが示唆された。
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