研究課題/領域番号 |
07672481
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
羽里 忠彦 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 化学療法研究部門, 研究員 (60109949)
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研究分担者 |
釘宮 豊城 順天堂大学, 医学部・麻酔科, 教授 (90010537)
山本 行男 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 化学療法研究部門, 研究員 (80124501)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | Enkephalin / Spinorphin / AmincpeptidaseN / Leuhistin / Anti-inflammatory |
研究概要 |
ガン末期等の慢性疼痛患者に、頻繁に使用されているモルヒネと同様な作用を有する物質・Enkephalinが脳より発見され副作用のない鎮痛薬として期待されてきた。ようやく、分子生物学手法でEnkephalin受容体の構造も解明され、痛みの制御機構等が分かってきた。更に、Enkephalinは、生体内に広く分布し、末梢で起こる炎症の好中球機能に深く関与し、Enkephalinが好中球機能の遊走性を活性化することも報告されてきた。本研究は、我々が脊髄より見出したEnkephalin調節因子・Spinorphinを駆使して好中球を介した炎症制御機構にどのように関与しているかを解明することを目的とする。好中球表層に存在しているプロテアーゼに対して、本物質Spinorphinは、特異的Aminopeptidase N阻害物質・Leuhistinを加えてHPLC等で解析すると非常に安定であることが分かった。更に、好中球表層に存在しているAminopeptidase Nが帯状庖疹等の疾病時に、顕著に上昇する現象を掴んだ。以上、Aminopeptidase NがSpinorphinの代謝酵素であり、炎症制御機構に重要な鍵を握っていることが示唆された。更に、Spinorphinは好中球機能の活性酵遊走性活性に対してそれぞれ抑制抑制効果を示したことを明らかにした。更に、fMLP刺激により引き起こされる細胞内遊離カルシウム濃度に対して、Spinorphinは顕著な抑制効果を示した。この現象は、Spinorphinが好中球機能の発現を抑制し、シグナル伝達に関与しているカルシウム変化を抑制していることに起因していると考えられた。そこで、マウスを用いた急性炎症モデルを用いてSpinorphinの抗炎症作用を検討した。カラゲニンを用いた胸膜炎モデルで、Spinorphinは高濃度であるが多形核白血球を有意に抑制する効果があった。更に、特異的Aminopeptidase N阻害物質Leuhistinを併用投与すると、単独と比較して50倍以上強い増強活性が観測された。今後、内因性疼痛制御物質・Spinorphinが、プロテアーゼを介して、どのような受容体に結合し、炎症等の制御機構に活性発現するのかを詳細に研究する予定である。
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