研究課題/領域番号 |
07672491
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
武内 望 愛媛大学, 医学部, 教授 (10028417)
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研究分担者 |
櫃本 泰雄 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (90136333)
佐伯 修一 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80145078)
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キーワード | 慢性関節リウマチ / 熱ショック タンパク / 抗体 / TGF-β |
研究概要 |
自己免疫疾患の一つである慢性関節リウマチ(RA)では、交差反応性外来抗原の刺激により自己免疫応答を引き起こすと考えられるが、その自己抗原は未だに特定されていない。近年RA動物モデルにおける自己抗原候補の一つとして熱ショック蛋白(hsp)が考えられてきた。そこで我々は、ヒト由来リコンビナントhsp60に対するリウマチ因子(RF)陰性RA患者および健常人血清中の自己抗体価を測定したところ、抗hsp60 IgG抗体価は両者間で有意差がみられなかったが、RF陰性RA患者の抗hsp60 IgA抗体価が健常人に比し有意に高いことがわかった。しかしこれは変形性関節症(OA)でも上昇していることが判明し、抗hsp60 IgA抗体産生上昇は関節炎に付随する二次的所見と考えられた。一般にIgA産生を増強する因子としてTGF-β、IL-4、IL-5などのサイトカインが知られているが、血清中TGF-βは、OA患者で不変、RA患者ではむしろ僅かに低値を示した。このことより、RAとOAでは異なる抗hsp60 IgA抗体産生メカニズムによることが示唆される。他方、RF陽性RA患者は抗hsp60 IgG、IgA力価とも健常人に比し有意に高いが、IgG濃度、IgA濃度もまた高値を示す。おそらくIgG、IgAリウマチ因子の存在がそれぞれの見かけ上の測定値を上昇させた結果であろう。今後、RA患者検体での様々な抗体価測定に際しては十分な注意が払われる必要がある。これらの結果より、ヒトRA発症病因におけるhsp60の関与を積極的に支持する所見は得られなかったが、細胞性免疫を刺激する交差反応性抗原の追求と相まって更なる検討が必要であると思われる。
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