研究概要 |
1.バンコマイシン耐性腸球菌検出方法の開発・検討 米国ワシントン大学およびアイオワ大学より分与されたバンコマイシン耐性腸球菌,国内で収集された感性菌を用い,(1)NCCLSディスク法,(2)昭和ディスク法,(3)微量液体希釈法での最小発育阻止濃度(MIC)の測定,(4)自動化機器(Vitek Systems.),(5)バンコマイシン含有寒天平板スクリーニング法での耐性検出精度を検討した。バンコマイシンに極めて高いMICを示すvanA型の耐性では,いずれの方法も精度高く耐性を検出下が,比較的低いMICを示すvanB型の耐性菌では昭和ディスク法,自動化機器において,正しく耐性を検出できない菌株も観察された。検査室での耐性検出には,8μg/mLのバンコマイシンを含む寒天平板スクリーニング法が最も簡便で,精度の高い方法であることが確認された。 2.バンコマイシン耐性遺伝子の検出 3種類の耐性遺伝子,vanA,vanB,vanCをPCR法で検出する検査技術を確立した。それぞれ15〜20塩基の特異的なprimerを用い,同時に増幅する検出系を開発した。PCR産物を1.5%アガロース・ゲル電気泳動で分画すると,vanAは783bp,vanBは297bp,vanCは438bpのDNA断片として確認された。 3.菌株収集と疫学調査 九州,中国地区の医療検査施設より,現在までに2,000株を越える腸球菌が収集された。寒天平板スクリーニング法およびMIC測定からバンコマイシン耐性の有無を検討しているが,現在までのところvanC型と考えられる耐性菌は観察されているが,接合伝達あるいはトランスポゾンによる耐性伝達が可能なvanA,vanB型の耐性菌は確認されていない。
|