研究概要 |
静岡県立こども病院血友病包括外来に通院中のHIV抗体陽性の血友病患者21名と非血友病患者3名の保存血清よりHIV-RNAを抽出し、competitive-PCR法によりウイルスRNAを定量した。この内8症例についてはウイルスRNA量を経時的に追跡し、病態進展および治療効果との関連性について検討した。病期はAC(無症候キャリアー)10名、ARC(エイズ関連症候群)12名、AIDS2名 血清1ml中のウイルスRNA量は、ACでは378(30〜1,6060コピー、ARCでは2,890(140〜15,880)コピー、AIDS2症例では940と4,520コピーと病期が進むに従いウイルスRNA量が増加する傾向を認めた。しかし、AIDSでも症状がなく、薬剤の効果が認められる症例ではRNA量は低いことが明らかになった。また、AZTとddCの併用症例においてRNA量の減少が著しいことが確認された。 ウイルスRNA量を経時的に追跡し、臨床症状および他の臨床HIVマーカー(ウイルス量、CD4細胞数、CD4/CD8比、p24抗原量、IgG値、IgA値、β2-ミクログロブリン量)と比較した結果、血清中のHIV-RNA量の測定は、予後判定、治療開始時期、抗レトロウイルス剤変更時期の決定に必須であり、臨床症状、CD4細胞数、IgA値等と共に総合的に判断するのが望ましいことを明らかにした。 長期未発症と考えられる2症例については、過去12年間以上にわたって血清中HIV-RNA量はcompetitive-PCR法による検出限界以下の50コピー/100μ1以下を維持していることが明らかになった。
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