我々はこれまでにリポ蛋白のイムノアッセイにさまざまな因子が影響を与えることを指摘してきた。同時に各種のモノクローナル抗体を使用した血中Lp(a)測定法を開発してきた。Lp(a)は、とくに最近さまざまな測定原理、すなわち酵素抗体法、免疫比濁法、ラテックス凝集法などにより測定されるようになった。測定値の統一には、共通の標準物質を使用することが望ましいが、いわゆる標準物質に対する反応性が測定原理により少しずつ異なることなどから、既存の標準物質を全ての測定系使用することは困難である。このため、全ての測定系に適合する安定供給可能な標準品の開発が望まれていた。 我々は、すでに報告されているapo(a)のcDNAの配列をもとにプラスミノゲンとの相同性が低く、免疫交叉反応が少ないことが予想されるapo(a)部分蛋白を遺伝子工学的に合成して、標準物質として検討することを目的とした。そして、ヒト肝cDNAライブラリーからapo(a)のサブクローンを分離した。本書では、我々がすでに同定しているLp(a)測定に関係した重要なエピトープを利用した標準物質開発の試み、apo(a)の部分cDNAの単離を中心に、Lp(a)測定系の比較検討、血中Lp(a)抗原の迅速分離、さらに国際的な標準物質統一の動向についての研究成果を報告する。すでに、発表したものは別冊をもってあてた。
|