研究課題/領域番号 |
07672503
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
松本 勇 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20080567)
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研究分担者 |
井上 義人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (20080616)
新家 敏弘 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (10098858)
久原 とみ子 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (30080568)
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キーワード | GC / MS / 代謝性疾患 / 化学診断 / 新生児マススクリーニング |
研究概要 |
平成7年度はGC/MS分析条件をほぼ完成し、同時に病名診断プログラムの開発にも成功して、フェニールケトン尿症、楓糖尿症など22疾患の自動化学診断システムを確立した。 平成8年度は久留米大学医学部、島根医科大学他2研究機関と共同し、GC/MS機器メーカー3社の協力を得て、本システムの新生児マススクリーニングへの応用の有用性を実証するため、石川県、福岡県、島根県、千葉県内のそれぞれ数特定病院産婦人科から新生児尿を提供して貰い、22疾患のスクリーニングを実施した。そのうち金沢医科大で分析した新生児尿は2,953検体で、異常が認められた86例のうちメチルマロン酸尿症1例、ガラクトース高排泄68例、一過性高チロジン血症11例、シスチン尿症の疑い6例を発見した。シスチン尿症の疑いのうち追跡できなかったのは3症例であった。一過性ガラクトース高排泄児のうち、早産児、低出生体重児では82%と高率に発見され、シスチン尿症は26%の高率で発見された。一過性ガラクトース高排泄児ではガラクチトール、ガラクトン酸の排泄増加はなく、ガラクトース血症と区別できた。追跡調査できなかったシスチン尿症の3例、一過性チロジン血症、一過性ガラクトース高排泄を除いても、発見頻度は4/2,953例(1.4/1000例)で、予想以上の高率であった。メチルマロン酸尿症の症例は現在も無症状だが、定期的に観察している。シスチン尿症のマーカーとしてはシスチンのみでなく、リジンも重要であることが判明した。そこで、ω-アミノ酸であるリジンの定量性を改善するために安定同位体標識リジンを内標準に用いることとした。シスチン尿症の発症前診断は、発症に係わる先天的(DNA)、後天的因子解析、ひいては発症阻止あるいは治療法の進歩に役立つものと考えられる。 以上の成果を得て、本研究の目的であるGC/MSによる化学診断の新生児マススクリーニングへの応用が非常に有用であることを実証できたと確認している。
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