研究分担者 |
櫻井 浩治 新潟大学, 医療技術短期大学部, 教授 (80018712)
定方 美恵子 新潟大学, 医療技術短期大学部, 助手 (00179532)
佐藤 悦 新潟大学, 医療技術短期大学部, 助手 (20169410)
湊 孝子 新潟大学, 医療技術短期大学部, 講師 (60272853)
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研究概要 |
1.系統的文献探索:本研究に関連する海外文献は1990年以降に増加しているが主要文献は7例で親役割移行に関するものが主であった.国内では事例報告と質問紙調査によるものが散見されている. 2.本調査に向けて事前調査の実施 1)調査対象:不妊および多胎の自助グループ、新聞募集などに応募した自発的協力者.年齢,治療内容,個人・夫婦を問わず本研究に関する応募者は全て調査対象とした.2)調査方法:そのうちの10例について研究者2名が自宅訪問し,半構成法による面接聞き取り調査.対象の内訳は体外受精4名,排卵誘発2名,他の治療2名,治療断念2名で、単胎6例,双胎2例,品胎1例(死産),他に養子縁組が1例であった.3)調査内容:不妊治療の開始前,治療中,妊娠判明時,妊娠中,出産時,育児期,現在に至るまでの経過を振り返りにより口述.記憶に残る事柄やその時の気持ちなどを充分話しつくしたという気になるまで聞き取りを実施.この面接時記録とテープによる逐語記録を分析・考察、分析視点は、治療中の気持ち,夫婦関係,性生活,セルフエスティーム,周囲の理解,妊娠中の対児感情,育児意識等である.4)結果:単胎出産例では妊娠・育児の満足度が高いが、双胎・品胎では妊娠時のショックに始まり全期間を通じて不安が強く満足度は低い.対児感情に不安をもつものは多胎および養子縁組み事例であった.また治療断念事例では予期せぬ妊娠の受容のために葛藤の大きいことが示唆された.しかし共通して第1子の挙児後には次子妊娠の希望が強く、前回妊娠とは異なる悩みを抱えている.受けとめ方は、妊娠前では機能を正常に戻すためのものととらえられているが、妊娠・出産以後はその影響が自己の健康問題と受けとめられており、不安や心配が生じている. 3.平成8年度の研究方針 平成8年度は今回の調査を発展させ、本テーマについてさらに家族形態,地域性,生育歴や価値観にも踏み込んで対象のおかれている状況の共通性と異質性に関わる要因を追求する.
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