研究概要 |
保健婦が行う在宅療養者のケースマネージメント指針を作成するために,広島市の市街地で生活している高齢在宅療養者で,厚生省が作成した障害老人の日常生活自立度判定基準の寝たきり者(B-1,B-2,C-1,C-2)に該当する51名について、保健所保健婦が把握している医療・保健・福祉制度の利用状況、家族による介護の状況及び保健婦の対象者への訪問指導内容を分析した。 自立度が比較的高いB-1群の1名以外はすべて主治医があり,そして自立度が最も低いC-2群では全員が訪問診療を受けていた。訪問看護婦またはホームヘルパーによる看護・介護援助は,C-2群は全員が一方又は両方を受けていたが,C-1群で半数,B-2群で1/4,B-1群では15%は全く援助を受けず,家族及び保健所保健婦の指導・支援のみであった。その他の専門職種による援助は少なかった。 トイレ、浴室、廊下及び階段等の家屋の改造と腰掛け便器の使用及び入浴補助用具の使用はB群で多く、C群では少なかった。訪問による入浴サービスがC群に多かった。一方,車椅子の使用者はB,C群とも多い。 保健婦の指導としては,ADLの拡大,家族の健康管理,介護の負担軽減がいずれの群にも共通して多いが,さらにB群では生活意欲の拡大,転倒の防止が多く,C群では脱水の予防、排便のコントロール,感染の予防,関節拘縮の予防、褥創の予防等医療関連事項が多かった。 今後は51例の訪問調査を通して,家族による毎日の生活への援助内容と社会資源の利用への考え方を分析し,さらに在宅療養者の寝たきり度に影響する要因と社会資源の活用状況との関連性を検討し,早期に親切な看護・介護支援を行うための保健指導のあり方について考察していく予定である。
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