研究概要 |
1.佐賀県(佐賀医科大学、唐津済生会病院、社会保健佐賀病院)における遺族の調査を研究目的に沿って患者の死亡前1ケ月の限定した期間の状況について実施した。郵送による回答者数548名、回収率77.5%である。1)患者の症状については、痛み57.3%,食欲不振47.3%,微熱43.4%,倦怠感,息苦しい・咳痰,むくみの順で、痛みの程度については最も強い痛み18%、かなり・もっと強い痛みを訴えているを含めると71%,持続的な痛み40%、時々痛む49%,患者の世話は妻が最も多く実の娘-嫁-息子の順であり、病名をはっきり知っていたのが29%、うすうす気づいていた33%全く知らない20%、死後のことを話しかけてきた25%、内容は家で死にたい、家族への配慮等が主である。 2.看護する家族のGreif Workの在り方を明らかにするために、患者の死亡前1ケ月の限定した期間の状況について全体の中から次の項目-1)生きがい、2)治療看護への満足感、3)ストレスへのCoping(積極的、悪循環的・逃避的対処行動)、4)燃えつき症状、5)精神健康度、6)介護モラールに完全に回答している161名を抽出してデータ解析を行った。回答者の最頻年齢は47才である。1)生きがいは家族とのつながりの中に感じている(家族介護者)が最も多く友人-職場・仲間とのつきあいと続いている。2)医師や看護婦に対しては約70%の信頼度、満足度がある。3)積極的対処行動は55%が出来ておらず、25%が悪循環的逃避的対処行動をとり、4)59%が高い燃えつき状況、5)GHQ(抑鬱、神経症状)において81%が神経症圏内に、6)介護モラールは比較的高いが1割〜3割程度は低い〜中程度である。この調査結果からここでは特別にがん患者だけが対象ではないが末期における痛みのコントロールの不充分なこと、病名の自覚は3割程度であるがその他の記入の中には、半数以上の回答者が医療者に対する様々な要望を熱心に記入してあった。介護意欲は低くはないが神経症圏内の燃えつき症状が証明されたので、この地域における死にゆく患者のケアについてはもちろんのこと、看護者の家族への基本的なサポートの在り方を具体的に教育していく必要がある。そのためのケアの評価マニュアル作成も考慮してサポートシステムについて今後も探求していく。
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