1.終末期患者への看護介入技術の開発について (1) SYMPTOM MANAGEMENT MODELの枠組みを活用して終末期患者(家族を含む)に症状緩和に関する面接調査を行い、分析した結果、自分の症状のメカニズムを良く理解している患者は、援助の提供者に対して適切な要求をしたり、意図的に自分なりの症状緩和方法を生み出しており、症状を持つ患者のマネジメント能力が、症状緩和をより容易にするものであることが推測された。事例検討の段階では、患者や家族が主体となって症状マネジメントを行っていくために必要とされる援助技術を導き出すうえで、この枠組みの有用性が示唆されており、今後はこの枠組みの有用性の検証をさらに進める。(2)死にゆく患者の言語的表現を援助するという看護技術の開発を試みた。昨年度の研究に引き続き、事例の言語表現を助ける介入により、患者と家族が平穏な終末期を持つことができた。今後、事例の分析を行い、介入の方法とより効果的に達成するための援助者側の課題を明らかにする。 2.終末期の看護ケアに関するシステムの導入の方略について コンサルタントが介入しながら事例検討を行い、同時に看護記録用紙を自分たちが実践でより活用しやすいものへと洗練させるプロセスに参加した。そして、在宅-外来-病棟-訪問看護-緩和ケア病棟と、一人の患者に同じ用紙を用いて、継続的に看護を提供し、記録し、情報を共有できるものを完成させた。また、事例検討を繰り返し、記録用紙を1年間使用してきた看護婦たちの自己評価から、セルフケアに基づいた看護計画の実施率が高まってきたばかりでなく、自分たちの視点がはっきりしてきたことや、セルフケアという考えに基づいて看護実践が変化してきたなど、コンサルテーションへの評価を得た。今後も定期的にコンサルテーションを実施しながら、より効果的な終末期の看護ケアシステムについて、分析を行っていく。
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