研究概要 |
慢性疾患を持ちながら社会生活をする患者のクオリティ・オブ・ライフの実態を明らかにすることを目的として、質問紙を用いた調査を行った。結果、関東地方の6総合病院の外来に定期的に通院する慢性疾患患者277名より回答を得た(回収率56.5%)対象の平均年齢は52.5歳(SD10.7)で22歳〜78歳の範囲にあり、男性は126名、女性146名(不明5名)であった。疾患は複数有している者がほとんどで内分泌・代謝系が90名(32.5%)と最も多く、次いで循環器系75名(27.1%)、腎・泌尿器系67名(24.2%)消化器系47名(17%)であった。平均罹患年数は8.7年(SD7.4)で、入院歴は1回の者が237名(85.6%)とほとんどで、182名(65.7%)の者が1回の手術歴があった。今回の調査では、慢性疾患患者が社会生活の中で病院をどのようにコントロールできているのかを基準にした生活管理尺度を用いてクオリティ・オブ・ライフを測定した。その結果、年齢層、性別、疾患別、内服薬別では有意な相違は見られなかったが、自尊感情とは高い相関(γ=.52,p=.00)が、さらに人生満足度とも高い相関(γ=.45,p=.00)が、また自覚する健康観とも中等度の相関(γ=.33,p=.00)が見られた。これらより、病気を持ちながら社会生活をしている慢性疾患患者が有効な生活管理ができることや確固たる価値や信念体系を培いながら前向きに生きることが、安寧を保つ上で必要なことであると推測できた。これらを踏まえた医療従事者の専門的な援助が求められていることも考察できた。
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