研究概要 |
看護料は社会保険・老人保健診療報酬・医科点数表において全国一律の公定価格として定められ,この公定価格により医療・看護サービスの対価として支払われる報酬が診療報酬である。日本の診療報酬制度における看護サービスの経済的評価を目的に,当該年度は「わが国の診療報酬制度における“看護料"のマクロ経済分析」をテーマに,診療報酬・医科点数表における「看護料」点数の規模と動向を明らかにすべく,厚生省「国民医療費」・「社会医療診療行為別調査報告」および経済企画庁発表等の資料に基づき検討した。 結果,国民医療費の総額は昭和36年度〜平成5年度間に47倍強の約24.3兆円に増大し,CNPの5.17%水準に達した。名目GNP成長率と比較した国民医療費の相対的な増加率は時期によって相当な変化があり、平成3〜5年度間のGNP弾性値は2.23と,低経済成長下における国民医療費増大の深刻さが示された。診療報酬・医料点数表における総数点数および入院料点数は昭和61年度〜平成5年度間にそれぞれ1.39倍および1.45倍,看護料点数は1.53倍に増え,平成5年度の看護料点数は105.2億点に達した。平成4年度以降,看護料指数が総数指数および入院料指数を上回り,看護料比率が増大し始めた点に見られるごとく,今後21世紀に向け看護サービスの経済的価値が真剣に問われ,評価される時代の到来を予測した。 他に,診療報酬制度における看護サービスの「量」評価をめぐる現状と問題点,そしてその実現可能性についも検討した。
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