研究概要 |
産褥期に発現するマタニティ・ブルーズ症状の早期予測を目的に,妊娠期から産褥1か月までの縦断的調査・実験をおこなっている。 前年度の妊婦58名のうち、産褥4日に調査をおこなうことができた40名を対象とした。なお,対照群は非妊婦(女子短期大学生)93名である。 研究方法は,前年度と同様に,自己式質問紙調査と唾液中プロスタグランジンD_2(PGD_2)値の測定を実施した。マタニティ・ブルーズ評価尺度と唾液中PGD_2値との関連を,妊娠中期と産褥4日とにおいて検討し,以下の結果を得た。 1.産後マタニティ・ブルーズ症状を発現したのは44.7%であり,そのうち初産婦は82.4%であった。 2.妊娠中期では,「神経症の強い」群にマタニティ・ブルーズ症状と類似する症状が発現した。 3.産褥4日では,「産後の症状有」群にマタニティ・ブルーズ症状が発現した。 4.唾液中PGD_2値は,非妊婦に比べ妊娠中期・産褥4日ともに有意に高い値を示した。 5.産褥4日では,「産後の症状有」群のPGD_2値で,初産婦が経産婦に比べ有意に高値を示した。 われわれは,唾液中PGD_2値をマタニティ・ブルーズ症状の客観的指標として用いるために,基礎的研究に取り組んでいる。今後は,唾液中PGD_2値測定の信頼性,マタニティ・ブルーズ評価尺度の妥当性の検討をすすめたい。
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