研究分担者 |
斎藤 ひさ子 , 助教授 (60117116)
川村 恵美 名古屋市立大学, 看護短期大学部, 助手 (20241200)
石原 英子 名古屋市立大学, 看護短期大学部, 教授 (90080192)
田中 満由美 山口県立大学, 看護学部, 講師 (90285445)
山本 智子 山口県立大学, 看護学部, 助手 (70275436)
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研究概要 |
産褥期に発現するマタニティ・ブルーズの発症予防は早期予知にあり,これが可能であれば支援システムの確立に役立つことになると考える。 そこで、妊産婦の精神身体症状と唾液中PGD_2値との関連を明らかにする目的で,妊娠中期と産褥4日に縦断的調査・実験を40名に行い,以下の知見を得た。 1.マタニティ・ブルーズ症状の早期予知 マタニティ・ブルーズ測定尺度は,Zung抑うつ尺度(SDS)20項目,MPI神経症尺度24項目を用い,自己式質問紙による調査をした。 その結果,妊娠中期の「神経症強」群に発現した精神身体症状は、産褥4日の「産後イライラ感有」群にも同様に発現していた。妊娠中と産後に現れる精神身体症状には関連があることが確認できた。 2.客観的指標としてのPGD_2値 PGD_2値の定量には,唾液1mlを採取,冷凍保存後にEIA法を用いた。 その結果,唾液中PGD_2値は非妊婦に比べ,妊婦・褥婦ともに有意に高値を示した。妊娠中期から産褥4日のPGD_2値の変動をみると,「高値から低値に減少」したタイプに,産後イライラ感を訴えたものが多かった。SDS得点とPGD_2値との関連では,妊娠中期では高値群に,産褥4日では低値群に,高得点の精神身体症状が認められた。 妊娠中のPGD_2値が分娩後急激に低下するという,ホルモン環境の変化がイライラ感や精神身体症状を発現させる要因になっていると推測される。 今後は,マタニティ・ブルーズの発症に関わる因子のひとつとしてPGD_2を加え,唾液中PGD_2測定値の信頼性を検定する基礎的研究をすすめていきたい。
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