研究概要 |
1.人間関係の測定用具の信頼性と妥当性の検討 平成7年度ではまず,申請者らが開発した測定用具である「対象-看護者関係評価尺度(CNRS)」の有用性を,臨床実習中の患者-看護学校関係の評価に実際に用いて検討した結果,CNRS得点は実習期間中漸次増加し,看護の対象と看護学生との関係成立過程を量的に明確に反映することが示された(深井ら,1995;新見ら,1995)。 2.人間関係形成過程における看護的鎮痛技術の効果 (1)実験者と良好な友人関係が成立している被験者群と,初対面の被験者群の2群において,冷水刺激での痛みの耐性を潜時で比較したところ,前者が後者より長い傾向があった。CNRS得点は,前者の方が有意に高かった。 (2)本学の看護学生と,同年次の面識のない他大学の看護学校(ただし准看護免許取得者)の2群において2週間毎3回にわたって,同様に冷水刺激に対する耐性を検討した。前者ではその間,集会を持つなど,実験時以外でもしばしば接触した。その結果CNRS得点は全例で漸次増加する傾向がみられたが,両群の得点差は顕著でなかった。比較的よい対人関係を反映すると考えられる。CNRS得点50以上の者の潜時は50点未満の者より長かった。 (3)実験4回目の被験者群と初回の被験者の2群において,電気刺激によって生じる痛み閾値には個人差があったが,看護的鎮痛技術の痛み閾値に対する鎮痛効果は前者の方が顕著な傾向が認められた。自立神経反応には,ほとんどの例で順応がみられたが,反応自体は後者の方がやや著明であった。 これらの結果を踏まえ8年度は今年度の被験者の他に新たな被験者を募り、関係形成群と非形成群をより明確に区別できるよう工夫する。冷水刺激に対する疼痛に関しては,性差,体脂肪差,年齢差についても検討する。
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