研究概要 |
1.対象-看護者関係評価尺度の精度の検討 本研究結果から,CNRSは総得点と因子得点の両評点を検討することにより,単に患者-看護者関係だけでなく,その他の微妙な人間関係を測定できる精度を持つ,信頼性と妥当性の高い測定用具であることが確認された。 2.冷刺激による疼痛閾値への人間関係の影響 冷刺激で生じる痛みの閾値は,人間関係が成立している場合にはそうでない場合よりも高い傾向が示され,冷刺激による耐痛閾値は人間関係に影響を受ける可能性が大きいことが確認された。また,冷刺激によるストレス誘発鎮痛時に,血中のACTH,β-エンドルフィン,アドレナリン,ノルアドレナリン濃度が一時的に増加していることが確認された。少数例であったが,被験者-実験者間で人間関係が成立している場合の方がこの傾向が強いことが示された。 3.電気刺激による耐痛閾値,痛み反応,看護的鎮痛技術の効果の,性差及び人間関係の違いによる差 電気刺激の耐痛閾値は男子が女子より高い傾向が認められた。同性で人間関係が異質な二群間では耐痛閾値の有意差はみられなかった。看護ケア中の局所発汗量や心拍数変動に現れた反応から,人的相互作用の密なケアほど自律神経反応が大きいこと,人間関係が成立していない看護者や異性看護者によるケア中,患者は緊張状態にあることが推察された。人間関係が成立している二者間では,そうでない二者間よりも看護的鎮痛技術の効果が大きいこと,また,異性の看護者から受けるケアは同性より効果的である可能性が示された。 今後は年齢や性別,職業の他に体脂肪率も考慮して被験者を選択する。次段階として,慢性痛のある人で耐痛閾値と看護的鎮痛技術の効果,それらの性差,人間関係による差を比較し,痛みが生活に及ぼす影響を考察する。
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