本研究では以下の方法を用いて、調査研究を実施した。 1.写真投影法を用いた児童の地域イメージの分析調査 2.認知心理学的手法を用いた、児童の景観評価構造の解明 レパートリーグリッド手法を用い、写真を用いた児童の一人づつの対面調査 3.子供たちの撮影した写真をもとにした、景観教育用副読本の作成 小冊子『ひろさきカメラ・ウォッチング』を編集 4.副読本を用いた子供および保護者に対するアンケート調査および分析 撮影された場所に対する意見や、タウントレイルへの感想。保護者には、まちづくり教育の必要性と可能性に対する意見、教材化への提言等。 5.教育行政における住環境教育の現状と課題に関するアンケート調査 全国47都道府県の教育委員会および県庁所在地・政令指定都市・東京23区の教育委員会に、アンケート調査を実施。 本研究では、子供たちが身近な空間事象をどのように評価、認識しているかを浮き彫りにすることができた。対面調査によって子供から直接聞いて得られた知見も多く、個人の評価構造を解明するという意味におけるレパートリーグリッド手法の有効性が認められた。また父母へのアンケートからもこのような手法を用いた住環境教育の必要性が浮かび上がり、児童にもまちづくりにつながる期待や楽しみが存在していることが明らかとなった。一方で、クロスカリキュラムを実施しなければなかなか住環境教育が進められない現状や課題も明確になった。
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