平成7年度は、肌触りを評価するうえで有効であると考えられる物性値を測定するためのシステムの構築、測定条件の設定に重点をおいておこなった。その結果、以下のような摩擦、圧縮試験機の条件は整いつつある。 1)KES-SE-S摩擦感テスターに表面粗さアタッチメントをとりつけ、素材の表面形状を摩擦係数、表面粗さの両面から測定できるようにした。ここで、スポンジの測定には、摩擦子にかかる荷重の選定、摩擦子の形状に工夫が必要であった。 今後、摩擦係数の変動として得られた波形の解析において、どのパラメターの値が肌触りの評価に有効であるのかの検討を行う必要がある。また、表面形状を小型顕微鏡で簡便に表面の変化をプリントアウトすることはできるが、これをどう画像処理をするかはこれからの課題である。 水分を含んだ状態での摩擦特性の測定は、再現性のよいデータを得るための工夫が必要である。 2)圧縮特性 直径の異なる球状圧子(10、16、22mm)、シリコン圧子でスポンジの測定条件の検討をおこなった。水分を含んだスポンジの圧縮には、平板圧子では、板とスポンジ間に付着が生じることがわかり、主に球状圧子を用いての測定条件の検討を行った。その結果、プラスチックやゴムなどに適用されるヘルツの弾性理論が、化粧用スポンジにも応用できることがわかった。 平成8年度は実際の官能評価と物理量との相互関係についての解析を進めていく。
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