平成7年度は、金沢市中心部の集合住宅、及び金沢市周辺の独立住宅のニュータウンにおける調査を実施した。平成8年度は前年度の都市圏に対して、能登地方の中都市である羽昨市市街地に立地する独立住宅を調査対象に選定し、当該住宅に居住する世帯に対するアンケート調査を行い、その結果を集計した。羽昨市は人口減少地域であり、近年高齢人口割合の増加、世帯の縮小化がすすんでいる。調査の実施は1996年5月25日〜6月6日である。配布は116票、回収は106票(内無効回答1)である。 羽昨市における調査で、以下のような結果が得られた。(1)家族人数は2人世帯と人数の多い世帯が多く、家族構成では高齢の夫婦のみや三世代家族が多い。(2)住宅はDKタイプが7割を占める。(3)食事、団らん、接客等の日常生活行為も和室の使用が非常に多い。(4)子供の勉強室には洋室を使用する割合が比較的高い。また夫婦の洋室就寝は多くないが、30代と70代以降の世帯にその割合が高い。(5)冠婚葬祭を自宅で行うことに関して、正月(94.5%)結納(72.6%)法事(49.4%)葬式(15.4%)披露宴(1.1%)の順で自宅で行うのが当然とする世帯が多い。(7)高齢期の子世帯との住み方は、従来型のべったり同居を理想とする世帯(28.9%)より、現実になりそうだとする世帯(34.6%)の方が多く、また、別居も理想より現実には多くなりそうだと回答している。 前年度の松任市の調査結果と羽昨市の調査結果との比較により相違がみられたのは、以下の点などである。羽昨市はn-DK型が圧倒的に多く、日常生活行為や接客で和室の使用が一般的である。松任市ではnLDK型が一般的であり、就寝、接客も洋室やLの使用が多い。この他、冠婚葬祭や高齢期の子世帯との住み方、住宅の増スペース希望などでも、羽昨市の方が松任市より伝統的な住意識がやや強い傾向がみられた。
|