既設の表面試験機上に今回導入したCCDカメラを設置し、布を圧縮した際の接触状態の画像データを抽出するようにした。得られた画像は今回購入した画像解析用計算機上で解析した。以下に述べるような成果が得られた。 布の接触状態を適切に数量化する方法として個体の大きさを考慮した配置状態評価モデルを検討した。このモデルで算出する集中度の性質を乱数模擬実験により調査し、実測データとの対比を行った。その結果、この方法は画像中の接触集団の形状を検出するのに適しており、手触りがざらざらする布に存在する帯状の接触部集団を数量的に表現出来た。糸突起は織物特性や消費性能に大きな影響を与える。本研究ではフーリエ変換を主とする画像解析法を用いて織物の外観を客観的に評価する新しい手法について考察する。 方向性、織物本体からの糸突起の密度、緯糸縦糸密度の周期性などの織物表面の特性を綿平織物について調べた。この研究で得られた糸突起密度は以前に報告した、糸密度と動的摩擦のスペクトル解析で得た周期性の一致と同様に、糸密度に比例した。 この新しい方法は織物表面の糸突起密度の推定法として有効な方法である。 角度フーリエパワー密度解析によって、紡績法の緯糸を用いた織物について磨耗による糸突起の変化が異なることを見出した。 以上の如く、画像解析法による布の諸特性の計測は、他の物理的測定結果と合わせて使用することにより、重要な研究手段となることが明らかになった。
|