研究概要 |
伝統的な小麦粉発酵食品を中国、モンゴル、ミャンマーより入手し、製造中に関与している微生物を7種類の選択培地を用いて分離した。一つの試料に属を超えて多くの微生物が普遍的に存在していた。単離した微生物には、グラム陰性Enterobacter cloacae, Klebsiella pneumoniae等が、また、グラム陽性Bacillus subtilis, Lactococcus lactis等を同定した。モンゴル地域の試料より分離した微生物はグラム陽性のみであった。 リンゴ浸漬水から分離したE. cloacae GAOを用いて製造した小麦粉発酵のドウ・饅頭のたんぱく質を用いて、電気泳動により作用機作の違いをみた結果、市販酵母とは明らかに異なる挙動を示した。発酵による小麦アレルゲンの変化を小麦粉アレルギー患者の血清を用いてウエスタンブロットによる解析をおこなった。その結果、製造中の発酵により、また微生物の違いによりアレルゲンの変化が明らかになった。 製造中のドウおよび饅頭中のたんぱく質分解物のアレルゲン量をRAST法により確認した結果、ドウより調理した饅頭の方が、また、市販酵母より伝統食品より分離したE. cloacae GAOの方が低アレルゲン化していることが明らかになった。 さらに、世界各地の伝統的な食品からの微生物の検索を引き続き行い普遍性を明らかにするとともに遺伝学的な相同性も比較検討する。
|