本研究の遂行にあたって、調査対象である有料老人ホームが兵庫県宝塚市に所在するということで、1995年1月の阪神・淡路大震災の影響がまず心配されたが、幸いに山の手地域にあり直接の被害はほとんど皆無といってよい状況であった。そこで、予定どうりに第4回目の入居者調査を実施することができた。今次調査の回答世帯数は151であった。今回の調査で重視したことは、第一に、比較のためにこれまでの3回の調査と同様に実施することはもちろんであるが、第二に、15年という本対象ホームにとって一区切りの年ということで、これまでの4回の調査を縦に、時系列的につなげる作業を同時に進めるということであった。すなわち、第1次調査結果から各住戸に対して共通するナンバーをつけ、それを個人IDとしていたこと、さらに、入居者の性別と生年月日、入居年月日を尋ねていたことを手がかりに、第1〜4次、15年間の入退居の状況を明かにした。さらに、各次調査間の同一住戸における回答世帯の変動があった場合には、その理由についてホーム管理者に問い合わせ、可能な限り明らかにした。以上の結果、第1〜4次の4回の調査によって、対象有料老人ホームに入退居した全世帯のうち計293世帯についてのデータを把握することができた。これらの世帯の内、1979年4月の開設後1次調査(同年10月)までに入居した世帯は161、1次調査以降2次調査(1983年9月)までの間に、さらに48世帯が入居するとともに17世帯が退居、2次調査以降3次調査(1990年9月)までの間には、66世帯が入居するとともに48世帯が退居、3次調査以降今回の4次調査までの間には18世帯が入居するとともに24世帯が退居したという実態が明らかになった。今後は、さらに詳しく入退居の実態を明らかにするとともに、入居後の加齢に伴う生活状況の変化、さらには専用住戸内における生活の変化についてまとめていく予定である。
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