研究課題/領域番号 |
07680019
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
河合 弘康 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (80026525)
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研究分担者 |
磯部 由香 奈良女子大学, 生活環境学部, 助手 (80218544)
横井川 久己男 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (60230637)
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キーワード | 冷凍耐性酵母 / 冷凍感受性酵母 / パン酵母 / Torulaspora delfrueckii / トレハロース / 冷凍耐性機構 |
研究概要 |
近年、新しい製パン技術として冷凍生地を用いる製パン方法が普及しており、それにともなって酵母の冷凍耐性機構の解明研究に関心が集まっている。本研究は、酵母の冷凍耐性を支配する因子として、酵母の細胞内貯蔵炭水化物トレハロースに注目し、本物質と酵母の冷凍耐性との関連性を明らかにすることを目的として行った。まず、冷凍耐性酵母Torulaspora delbrueckiiとその冷凍感受性変異株を供試菌株として、それらの生育培地中のグルコース濃度と培養時間が細胞内トレハロース量と冷凍耐性に及ぼす影響を検討した結果、トレハロース含量はこれら培養条件によって著しく変動するが、冷凍感受性株より系統耐性株の方が常にトレハロース含量が高く、冷凍耐性と同物質の細胞内濃度との間に高い相関があることを見出した。つぎに、供試酵母菌のトレハロース代謝酵素(トレハロース合成酵素およびトレハラーゼ)活性と細胞内トレハロース量ならびに冷凍耐性を経時的に比較検討した結果、酵母の生育時間によって変化する細胞内トレハロース量の変化は両酵素活性の変化に対応していることを明らかにした。さらに、細胞内トレハロース量と冷凍耐性との関係を明確にするために、冷凍耐性株からトレハラーゼ欠損変異株を取得し、その細胞内トレハロース量と冷凍耐性との関連を親株と比較検討した結果、変異株は親株よりもトレハロース濃度が高く、凍結条件下において親株より高い生存率と冷凍耐性をもつことを明らかにした。以上の結果は、酵母細胞に常在する成分であるトレハロースが酵母の冷凍耐性と密接に関連していることを示唆しており、酵母の冷凍耐性機構の解明に一つの手がかりを与えうると考えられる。
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