郊外の戸建て住宅地の住戸は日本の過半を占めているが、比較的「裕福な」住宅地とて余り政策上も問題とされなかった。しかし今後の高齢化の進展や阪神淡路大震災のような非常時には、そのコミュニティの「弱さ」から大きな問題となりうる住宅地であろう。 3年にわたって、そのような問題意識から数ケ所の住宅地で調査研究をおこなった。その結果、得られた全体を通しての成果を以下に上げる。(1)道路を挟んで向かいとも付き合いは発展するが、それらが行政上同じ町内か否かで影響を受ける。(2)一つの道路の区切りで片側7〜10戸ほどの並び戸数がコミュニティ形成上良い。(3)個性的庭造りと共に協調しようとの意識も芽生えている。(4)窓からの眺望を重視する人が多く、回りの環境に「緑」を多く求めている。(5)阪神淡路大震災では9割以上が助け合っている。(6)震災後、付き合う戸数は増えているが付き合い程度は現状で良いとする人が多い。(7)自治会活動への期待は増え環境問題等を扱うことを希望している。(8)集会所等の共用空間は、活用されているが、回りとの「つながり」や広域的「つながり」まで要求する段階ではない等である。まだ詰めるべき点もあって、科学研究費報告書以外に未だ報告していないが今後報告していく予定である。
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