生活財の保有の増加や限られた住空間に伴い、貸倉庫・トランクルームを利用する家庭がみられるようになっている。生活財保有や使用にあたっての生活財の管理を考えていく上で、住戸外の施設、設備がこれをどの様に補完していくことが必要であるのかを、貸倉庫・トランクルーム利用の点から明らかにした。大都市(東京・大阪)圏と地方都市(広島)における業者への聞き取り調査を行い、一般家庭の利用には新築・増改築時に家財一式を預け、利用期間が短く、再来性が少ない利用と個別生活財を長期にわたって預ける利用がみられることや業者からは利用者の信用や利用上のマナーが課題となっている点が明らかになった。一方、東京・大阪・広島圏の戸建て、集合住宅居住の主婦またはそれに代わる人を対象としたアンケート調査を行い、次のような利用意識と利用実態を明らかにした。(1)トランクルームの知名度は9割弱であるが、利用経験者は少なく1割弱であり、レンタル用品に比べて利用率は低い。利用に抵抗がないのは6割強で、抵抗感は少ない傾向である。(2)利用希望品は家具・贈答品等の未使用品や冷暖房機器・スポーツ用品等の季節用品で4割強みられ、日常生活で必要とするものについては少ない傾向である。しかし、新築・増改築時等の期間を限った再来性のない場合には利用を希望している。(3)利用希望条件としては利用価格、業者の信用、管理の安全性や利用のしやすさが上位にあがっている。(4)収納や置き場所に困っているものとしては、節句人形・オフシ-ズンの衣服・布団が5割あり、季節用品の置き場所の確保の困難さが窺える。(5)地域特性や住宅タイプ特性は利用希望品に現れている。利用経験者は利用条件の特性が現れている。 このような業者と主婦に対する調査から、貸倉庫・トランクルームの特性や利用に対する実態と課題を明らかにすることができた。
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