平成7年度の研究日程は、3歳児の1年間の笑いの観察記録を収集することである。筆者は、この95年4月から96年3月までの期間に、山口大学付属幼稚園3歳児クラスにおいて、観察を行い約80ページの記録を作成した。観察総日数は28日である。さらに、同幼稚園3歳児クラス担任大森洋子先生より、保育記録の提供をお願いしたところ、200ページ弱の記録を提供いただいた。また次年度の参考のため、4歳児クラス、5歳児クラスの記録も提供も受けることができた。3月の最終観察を終えた段階でこれらの記録を整理・編集して、記録集を作成する予定である。記録の量がかなり膨大であるが、これらを整理分類し、笑いの様相をからだ、知的認識、人間関係、保育者の関わりの4点に絞ってまとめたいと思っている。 この間、それぞれの時期の子どもたちの発達の状況について共通理解を持つために、附属幼稚園との記録の検討会を6回実施した。 観察対象児の中でに観察者にとって気になった男児1名(表情がとらえにくく、したがってあまり笑わない)について、1学期の観察記録に基づいて、そのこの全体的な行動をどう理解するかを記録論の視点から分析した論文を執筆した(山口大学教育学部研究論叢第45巻第3部、1995)。この男児の笑いについての分析は、その後の試料を加えて改めて行う予定である。
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