研究課題/領域番号 |
07680029
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
下位 香代子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (10162728)
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研究分担者 |
木苗 直秀 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (00046286)
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キーワード | フラボノイド / ルテオリン / フリーラジカル / Fe-NTA / 抗酸化作用 / 血中動態 / 摂取量 / 含量 |
研究概要 |
昨年までに、生体内でフリーラジカルを生成する鉄ニトリロ三酢酸(Fe-NTA)によるマウス腎発癌モデルを利用してフラボノイドの生体内抗酸化性を、1) Fe-NTA投与後の腎臓中の脂質過酸化物(チオバルビツール酸反応物)量、2)腎近位尿細管細胞の核の形態的変化、3)生残率等を指標として検討し、フラボノイド投与群と対照群を比較し、フラボノイドが生体内で抗酸化性を示し、鉄ニトリロ三酢酸(Fe-NTA)の腎毒性を軽減すること、また、フラボノイドの血中濃度と生体内抗酸化性が相関することを明らかにした。本年度はフラボノイドをヒトの食事因子として評価するにあたり、1)野菜、果物、茶中の代表的なフラボノイド含量とヒトの摂取量、2)フラボノイド含量の高い野菜や果物を含む食事後のヒト血中フラボノイドレベルについて検討し、以下の結果を得た。(1)代表的な野菜、果物および茶を酸加水分解後、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン、ルテオリン量をHPLC法により測定し、総和量を全フラボノイド量として換算したところ、試料により分布が異なること、ケルセチンとケンフェロールが比較的どの試料にも多く含まれていること、タマネギには4種のフラボノイドがそれぞれ33.7、14.09、2.95、1.91μg/g含まれていることがわかった。また、茶葉中には多くのフラボノイドが含まれていることがわかり、フラボノイドの供給源として茶が重要であることもわかった。(2)ヒトのフラボノイド摂取量については、集団給食の調理実習を利用し、各献立に含まれるフラボノイド量をHPLC法により(1)と同様に測定したところ、約数mgから30mg含まれていた。(3)ヒト血中のフラボノイドレベルについては、3人のボランティアにケルセチンとケンフェロールを含む食事をしてもらい、一定時間後に採血を行い血中の含量をHPLC法により測定し、摂取量と血中レベルを比較した。血中からはケルセチンのみが検出され、その血中濃度は1〜2時間後に最大となり(濃度は0.1μg/ml plasma以下)、その後時間経過とともに減少した。これらの結果より、4種のフラボノイドについては、我々が日常約30mgを摂取し、吸収されたフラボノイドが血中に存在することが明らかになった。また、フラボノイドの血中レベルを維持するには、毎食、植物性食品を摂取することが望ましく、供給源として茶が有用であることも明らかになった。
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