生体内でフリーラジカルを生成する鉄ニトリロ三酢酸(Fe-NTA)によるマウス腎発癌モデルを利用してフラボノイドの生体内抗酸化性を、1)Fe-NTA投与後の腎臓中の脂質過酸化物(TBARS)量、2)腎近位尿細管細胞の核の形態的変化、3)生残率等を指標として検討し、フラボノイド投与群と対照群を比較した。その結果、フラボノイドが生体内で抗酸化性を示し、Fe-NTAの腎毒性を軽減すること、また、フラボノイドの血中濃度と生体内抗酸化性が相関することを明らかにした。 代表的な野菜、果物、および茶の凍結乾燥物を塩酸-メタノール中で加水分解後、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン、フィセチン、ルテオリン量をUV-HPLC法により測定し、総和量を全フラボノイド量として換算したところ、試料により分布が異なること、ケルセチンとケンフェロールが比較的どの試料にも含まれていること、また、茶葉中には多くのフラボノイドが含まれており、供給源として重要であることがわかった。また、ヒトのフラボノイド摂取量については、集団給食の調理実習を利用し、各献立に含まれるフラボノイド量をUV-HPLC法により測定したところ、約数mgから30mg含まれていることがわかった。ヒト血中のフラボノイドレベルについては、3人のボランティアにケルセチン60.8mgとケンフェロール11.4mgを含む食事をしてもらい、一定時間後に採血を行い、血中含量をUV-HPLC法により測定した。その結果、ケルセチンとほぼ同じ保持時間のピークが検出され、ケルセチンとして換算すると、その濃度は0.1μg/ml plasma以下であり、1〜2時間後に最大となり、その後減少することがわかった。 これらの結果より、5種のフラボノイドについては、我々が日常約10〜90mgを摂取していること、吸収されたフラボノイドが血中に存在することが明らかとなった。毎食時に、植物性食品を摂取して、フラボノイドの血中レベルを維持することが、生体内抗酸化性に寄与することが示唆された。
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