研究概要 |
1.研究目的および方法 夕暮れ時の薄明視条件(背景輝度0.01〜.10 lx)は,視力の低下した高齢者にとって最も見えにくい視環境であり,交通事故が多発するといわれている.そこで,高齢化社会における交通事故防止施策に寄与することを最終目的とし,本研究はCRT上にモデル画像を作成して被験者に開口色モードで呈示することにより,薄明視条件下における物体の見えをモデル的に再現し,色と形の視認性弁別閾を背景輝度との関係から明らかにする. 2.実験結果 2-1.日没時の照度と無彩色パネルの輝度の関係 日没時の照度変化に伴う無彩色パネル(W,Gy5,B,日本色研事業)の輝度の変化を9月初旬(18時から日没まで)に測定した結果,日没に伴う照度の低下にしたがってパネルの輝度は直線的に低下することが明らかになった.そこで,W,Gy5,Bのパネルを背景色にして,その中央に2度視野大の各種水準の灰色試験色紙を置き,背景色紙上の試験色紙が弁別しうる距離の閾値を求めると,背景色紙の輝度が異なっても試験色紙との輝度差が同じであればほぼ弁別距離は等しく,輝度差が大きくなるにしたがって視認性が増大することが明らかになった. 2-2.CRT上への画像の作成 CRTのγ特性を測定した後,0.05lxの薄明視条件でのW,Gy5,Bの輝度をCRT上に再現し,その中心に輝度が一定で色を変化させた試験色を置くモデル画像を作成した.それを刺激とし,還元衝立を介して開口色モードで被験者(人口瞳孔装置)に呈示し,試験色面積の影響,輝度水準の影響,色の組み合わせの影響について研究を進めている.
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