研究概要 |
骨粗鬆症は骨量の減少すなはち骨中のミネラルだけでなくタンパク質も減少していく疾患であり、その予防には食生活や運動などのライフスタイルが重要であるといわれている。そこで、成長期および成熟期ラットを用いて、タンパク質の摂取量、タンパク質の質の違い、自発運動などが骨塩代謝にどのような影響を及ぼすかを検討した。まず成長期ラットにタンパク源をカゼインとし、その、カルシウムの摂取量に差がなくても、タンパクレベルが低い食事(5%)では,カルシウム、リン、マグネシウムの腸管吸収率や体内蓄積率が低下し、骨成長や骨強度が低値を示した.骨粗鬆症予防のためには、成長期の頃のタンパク質栄養がいかに重要であるかを示した。一方、タンパク質の過剰摂取は、尿中へのカルシウム排泄を増大させるが、骨塩代謝への影響については明らかではない。そこで、高タンパク食で、骨塩代謝を正常にに維持するためにはどのようなタンパク源が適しているかを検討した。卵巣を摘出した骨粗鬆症モデルラットに、25%カゼイン食、50%カゼイン食、50%分離大豆タンパク食(SPI)、25%カゼイン_+25%コラーゲンペプテチド(LCP)食、25%SPI_+25%LCP食を12週間投与した。LCPを組み合わせた群にはそれぞれ運動群も設定した。飼料摂取量、体脂肪率、終体重は50%タンパク食のタンパク源の違い、運動による影響は認められなかった。50%のカゼイン食では尿中カルシウム排泄量が25%カゼイン食の約10倍と高くなったが、吸収量に比較し、尿中排泄量はわずかにすぎないので、体内カルシウム蓄積量、大腿骨重量、カルシウム含量、強度には差が認められなかった。カゼインやSPI単独の群と、カゼインやSPIにLCPを加えた群に分けて検討すると、LCPを加えた群の大腿骨重量、カルシウム、マグネシウム含量は有意に高く、大腿骨、上腕骨強度は高い傾向を示した。以上の成績よりラットでは、高タンパク食で尿中排泄カルシウム量は増加するが、尿中排泄量がわずかなので、骨塩代謝への影響は小さいこと、コラーゲンペプチドが骨塩代謝に何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。
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