0・1・2歳児では、保育者との関係で実現される受容体験を主軸とし、加えて、子ども自身も充実活動を充足させることが思いやりの発達過程の基盤に置かれるのではないかとの仮説をたてた。0歳児2名の要求内容が、1歳、2歳と年月齢を経るにつれて変化する過程に着目し、そこに関わる子どもの要求を保育者はどの程度まで受容しているか、また、その受容体験は、やがて保育者との関係において、「相手の気持ちを汲む」ことを生起させていくのではないかとの想定のもとに、まず要求の受容についてまとめた。 産休明けクラス(生後3ヵ月から9ヵ月)までの要求内容は、「生理的要求」、「物を取って欲しい」「保育者を求める」とし、0歳児クラス(生後10ヵ月から1歳9ヵ月まで)、1歳児クラス(1歳10ヵ月から2歳9ヵ月まで)は、さらに「自分を求める」、「他児を求める」を加えた。 その結果、(1)「保育者を求める」、「自己活動を求める」、「他児を求める」に共通して認められる自己主張は、1歳3ヵ月以降から現われ、自我の芽生えも要素として考える必要があること、(2)3歳以降、思いやり行動へとつながっていくと考えられる自己主張から誘発される「葛藤体験」が遊びにみられる「養護行動」が1歳代から出現していること-を明らかにした。 対象児2名の生後3ヵ月から毎月1回の観察記録及びビデオ録画の収録は、1998年3月保育所卆園時まで行い、今年度をもって、終了した。乳幼児期の貴重な固体追跡の資料を得ることができた。
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