三重県度会郡紀勢町の50-69歳の一般住民男性77名を対象に健康診断を行い、超音波定量的血流量測定装置(日本光電 QFM2000XA)を用いて、脳血管特性検査を行い、臥床時の頸動脈血流速、血管径、血管抵抗を測定した。早朝空腹時血清を得、血液生化学検査を行った。また血清脂質を抽出後、リン脂質分画を分離し、ガスクロマトグラフィーによりリン脂質分画中脂肪酸組成を測定した。食事調査は留置法により、食習慣調査および2日間の食事摂取量を記録してもらい、面接して確認回収し、ウエルネス/Win(トップビジネズシステム)を用いて栄養価計算を行った。確定的脳血管疾患群として脳梗塞既発症群13名を得、リン脂質分画中の脂肪酸組成を測定した。対象のBMIは22.7±2.8、(平均値±標準偏差)、拡張期血圧81.4±11.2mmHg、収縮期血圧127.2±19.0mmHg、トリグリセリド111.5±62.9mg/dl、総コレステロール205.9±44.1mg/dlであった。左側血流速は22.9±5.3cm/sec、左側血管径7.3±0.8mm、左側血管抵抗10.1±2.3mmHg・ml^<-1>/secであった。血流速の説明変数としてリン脂質分画中のC18:0、C18:1、C20:5、C24:1の脂肪酸が有意な正の係数を得、一般住民において血中脂肪酸組成は、脳血管特性に影響を及ぼす因子であることが示唆された。確定的脳血管疾患群においては例数が少なく有意な脂肪酸組成との関連を認め得なかった。
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