研究概要 |
平成7年度の研究よりメカブの粘性物質の主要成分であるアルギン酸を抽出し、この生理作用について動物投与による血漿コレステロール濃度の低下及びバッチ培養を用い、算出短鎖脂肪酸の種類と量による発酵性からメカブ由来のアルギン酸の生理作用を明らかにした。そこでさらに平成8年度は、メカブの粘性をワカメ,コンブと一般成分,アルギン酸量,みかけの粘度から比較し、メカブの粘性特性と生理作用の関連について他の海藻と検討を行った。その結果、 1.メカブ粘性物質の粘度とアルギン酸含量はワカメ,コンブに比べ有意に高く、メカブのアルギン酸は攪拌により溶出しやすく、粘性物質の粘度の高さの要因となっていることが示唆された。また、攪拌温度が高いほど溶出するアルギン酸が増加し、粘度の高いメカブ粘性物質が得られた。メカブより抽出したアルギン酸Naの粘度はワカメより低く、メカブ粘性物質の粘度の高さはメカブに含まれるアルギン酸の粘度ではなく、溶出量の影響が大きいと考えられた。これらのことについては、第51回日本栄養・食糧学会にて発表予定である。 2.メカブ,ワカメ,コンブよりの抽出アルギン酸Naと粘性物質の腸内発酵性について、ブタ盲腸内容物を利用したバッチ培養法により調べた結果、これらの海藻より抽出したアルギン酸Na、粘性物質からの短鎖脂肪酸産生量に違いはみられなかった。しかし、各種短鎖脂肪酸産生量の速度には違いがみられた。このことは、16th Int'l Congress of Nutrition National Research Council Canadaにて発表予定である。
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