豆種子のアリューロン層の役割とアリューロン層GRPについて調べた。 1.豆類種子アリューロン層の組織構造の差異 ダイズ属3種、インゲンマメ属2種、エンドウ、ソラマメについて種皮およびアリューロン層の組織構造を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察したところ、ダイズ属のアリューロン層が他の豆類のアリューロン層よりも発達し、細胞壁が特に肥厚していた。 2.ダイズ種子アリューロン層による種子吸水障害の抑制効果 ダイズの吸水過程においてアリューロン層は徐々ではあるが、膨潤肥大した。吸水過程のアリューロン層の役割を組織観察や成分分析によって調べたところ、種子内部の組織崩壊や内部成分の漏出を生じる「吸水障害」という現象を抑制する役割は、従来報告されている種皮にはほとんど依存せず、アリューロン層に大きく依存することを明らかにした。 3.豆類種子のアリューロン層からのGRPの抽出・分離 各種豆類のアリューロン層から抽出したGRPをイオン交換クロマト、ゲル濾過などで分離して比較したところ、アリューン層GRPの含有率は豆の種類により異なり、GRPはダイズ属に最も多く含まれ、インゲンマメ属にもかなり含まれるが、エンドウやソラマメにはほとんど含まれていないという結果を得た。 4.加水分解酵素によるダイズアリューロン層の消化性 アリューロン層をペクチナーゼ、セルラーゼで消化したが、細胞壁部分はかなり残存した。消化後の組織は紫外線照射で明確な蛍光発色を示すため、カスパリ-線様組織の存在を示唆した。また、この組織から抽出したタンパク質にはGRPが含まれていた。
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