1、目的 これまでの実験からラットが良好な生育環境下でアルカリイオン水を摂取しても、生理的影響は現れないことが明確になったが、飼育室の温度、湿度が高い環境下でアルカリイオン水を摂取すると、生理的な変化が生じる可能性がある。このことを確認するためにラットを高温(28℃±0.5)、高湿度(60〜80%)環境下で飼育し、アルカリイオン水摂取の生理的影響を検討する。 2、方法 ラット20匹を活性炭ろ過水またはアルカリイオン水摂取の2群に分け、個別ケージで31日間合成飼料で飼育した。飼料のタンパク質割合は生育条件を厳しくするために10%にした。飼育終了後臓器重量の測定と血清生化学検査を実施した。 3、結果 アルカリイオン水摂取群のラットの体重、臓器重量に変化はなかったが、血清遊離脂肪酸と特にβ-リポ蛋白レベルが低下し、アミラーゼとアルカリフォスファターゼ活性が上昇した。 4、考察 アルカリイオン水を摂取したラットには生理的な変動が生じたが、以前の実験で変動が生じた項目とは異なる項目に変化が生じている。しかしβ-リポ蛋白や遊離脂肪酸レベルの低下は、以前の実験で脂質レベルが低下したことと共通している。今回の実験では以前と比べ、飼料のタンパク質割合が低いこともラットの生育条件が厳しい点であり、そのことが以前の実験とは異なる結果になった可能性がある。しかし何れの場合にもラットの生育条件が厳しいと、アルカリイオン水摂取により生理的影響が現れる点において共通している。
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