1、目的・方法 アルカリイオン水の摂取がラットに及ぼす生理効果を、(1)不快環境(高温度高湿度)、(2)快適環境(常温常湿度)、(3)不快環境(高温高湿度)で低タンパク質飼料摂取の、3条件下で飼育し検討した。飼育方法はラットをアルカリイオン水(pH9.5〜10)またはコントロール水(pH7付近)の2群に分け、個別または集合ケージで飼料と水は自由摂取させ、1〜2か月間飼育しながら体重増加、飼料および水摂取量を測定した。飼育終了後解剖し、臓器重量の測定と血清生化学検査を実施し、アルカリイオン水摂取による影響を検討した。 2、結果 快適環境下でラットにアルカリイオン水を摂取させても、有意な生理的変化は生じなかったが、高温度高湿度下で飼育しながらアルカリイオン水を摂取させると、肝臓重量の減少、血清のトリグリセリッド、リン脂質、カリウム、鉄、尿素窒素の各値が有意に低下した。また高温度高湿度下でタンパク質レベルを低下させた飼料で飼育した場合には、アルカリイオン水摂取ラットの、血清βリポ蛋白と遊離脂肪酸の値が低下し、アルカリフォスファターゼとアミラーゼの活性が低下した。 3、考察 アルカリイオン水摂取の生理的影響に関しては、信頼性の高い研究報告が少ない。それは通常の飼育条件下でラットにアルカリイオン水を摂取させても、有意な影響が認められなかった本実験と共通性がある。しかし本研究からアルカリイオン水摂取の影響は、厳しい飼育条件下に於て現れることが明らかになったので、今後は厳しい条件下でアルカリイオン水の生理的影響を検討し、生理効果発現の機構を明らかにする必要がある。
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