19世紀後半から20世紀初頭におけるロシア社会における科学者の社会的な役割を、ロシア化学会に結集した科学者たちを例として明らかにするために、とくにその時期の代表的な化学者であるメンデレ-エフ(1834-1907)の活動を中心に、彼の研究活動と社会活動をロシア化学会との関連に焦点を当てながら分析した。 すでに入手した史料にあらたに発表された史料を加え、メンデレ-エフの関係史料の整理がほぼ完了したので、整理した史料の解読と分析を始めた。『ロシア化学会誌』のマイクロフィルムをはじめ、関係のマイクロフィルムの整理もほぼ終えることができた。 メンデレ-エフについては、主として60年代、70年代の業績について詳しく分析した。すなわち、まず60年代の周期律発見過程と60年代のロシア社会の関係を整理し、さらに70年代にロシア技術協会の出資でなされた気体研究の経過とその行き詰まりを、技術協会という学術団体のなかでの化学者メンデレ-エフの立場と関係という観点から明らかにした。また、同時期の重要な技術研究であるメンデレ-エフの石油研究についても分析した。 これらの分析結果については、来年度にメンデレ-エフの伝記のかたちでまとめていく予定である。
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